DIGITANK

某オークションで購入したパナソニック NV-HDR1000 (愛称 DIGITANK)。定価225,000円。HDD容量30GB。あ、写真の下のはアナログBSチューナで関係ありません。

i.LINKつきHDDレコーダに関する考察はこちらにゆずるとして、まあ、正直言って、製品としてはややビミョーです。といっても、他に選択肢がないからどうしようもないんですが。

早速ですがバラしました

事は、些細なことからはじまりました。同社のD-VHSビデオデッキNV-DHE10とこいつとで、同じ地上波の番組を録画して、どちらもBSディジタルチューナでデコード再生すると、どうも画質が違うんですねえ。画像の静止している部分のY/C分離の掛かり方が違う。

[NV-HDR1000 灰羽連盟OP]

[NV-DHE10 灰羽連盟OP]

DHE10だと、静止部分のテロップのような輪郭部分でクロスカラーが出ていないのに、デジタンクだとちらちらする。ポーズを掛けると一目瞭然。同時期の製品だし、記録媒体がテープかHDDかという違いはあるものの、ほとんど同じような回路構成になるはずだし、あまり画質に差異が出ることは考えにくい。例えばどっちかの方が若干色が薄いとか、明るいとかなら、調整の個体差という説明がつくが、Y/C分離精度となると、話は別である。

んでもって、まずはwebの商品説明とか、マニュアルをチェックすることからはじめる。DHE10/20は、明らかに「TBC」「3D DNR」「3D Y/C分離」というタームが見られる。ただ、なぜかVHS再生機能とか変な所に分類されてしまっているけど…。まあアナログVHS再生時に効く機能とかもあるんだけど、どっちかというとアナログ放送の録画とか、MPEGエンコーダがらみの説明に書いてほしいような…。

一方デジタンクは、マニュアルを全部見たけど、3D DNRの説明はあるけど、「3D Y/C」なんてタームすら出てこない。うそぉ…まさか載ってないなんてこと、ないっしょ…?アナログVHS、D-VHS、HDDというメディアの違いに関係なく、高画質を謳ったある程度以上のグレードの機種なら、まず載っていなくちゃおかしい回路なんですけど…。DHE10/20が載っているなら、デジタンクに載っていると考えるのが普通だし、HDDレコーダなんかよりずっと安価なS-VHSデッキだって、中級機以上なら載ってますよ?

とは言うものの、パナのお客様相談センターに問い合わせても、あんまり分かる気がしない。マニュアル見ても、仕様一覧見てもろくに載ってないし、よっぽど詳しい技術担当者にでも聞いてくれれば別だけど、普通に考えて、相談センターにマニュアルや仕様一覧以上の詳しい仕様に関する情報があるとは思えない。

じゃあバラして中見た方が早いんじゃないか?ということで、とりあえずネタも兼ねてばらしてみた。

まず天板を開けたところ。右がスイッチング電源。真ん中はメインのディジタル系回路。LSIがびっしりでつ。この基板の裏側にもびっしりLSIが実装されていますた。メイン基板のある底の部分にHDDが入っている。左はチューナユニットとか、その辺。

メイン基板の左半分と、右半分。

まず左半分から行ってみましょうか。右上がAKM AK5351 ディジタルオーディオ20bit A/Dコンバータ。NECのがμPD61002GC MPEGオーディオエンコーダ/デコーダ。この場合はMP2のみ使っていますね。4つあるRAMが三洋 LC3816161ET-70 16Mbit SDRAM。その右下の三菱M5M29GT320VP-80は32Mbitフラッシュメモリっぽい。

右半分。上からAKM AK4309BM ディジタルオーディオ16bit D/Aコンバータ。真下がシャープLH28F400BVHE-BL85 4Mbitフラッシュメモリ。その下が三菱M5M51016BTP-10VLL。SRAMっぽいけど詳細不明。にしても、メモリが多いですね。右のでっかいの2つが、Panasonic MN864601B DTCP対応IEEE1394リンク LSI。864602なら資料みつけた

どうも、ビデオ系が裏側のようなので、みどころというと1394/DTCP周りくらいですかね。興味深いのは、1394コントローラが独立して2つ載っていて、片方はBSディジタルチューナやD-VHSデッキとの接続用、もう片方はストレージ(HDD)との接続用になっています。それが、増設用の外付けHDDだけではなくて、実は内蔵のHDDとすら1394接続になってるんです。基板上こそさすがに復号化されたデータが行き来していますが、これによって、内部的に接続されたモジュール間ですら、コンテンツが暗号化された状態でやりとりされていますので、コピー保護されたコンテンツを取り出すのは、かなり困難であると言えるでしょう。

んで、この基板の裏なんですが、基板がスチール板に取り付けられていて、なにげに基板とスチール板が四辺とも半田付けでガッチリ固定されちゃっている(まあ、シールドのためだと思いますが)ので、どうにもなりません。さすがにこの半田をはがしてまで見る勇気はないでつ…

底にあるHDD。見たまんまQuantum製のドライブに、DTCP+1394インターフェイス/IDE変換や、ローカル暗号化(C2ブロック暗号)記録を行う特別な基板を取り付けたもの。

HDD基板。こちらにも、MN864601B DTCP/1394コントローラが載っているのがわかります。1台のHDDレコーダに、都合3つも1394コントローラが載っているという、無駄というか贅沢というかわけわからないことになっています。QuantumのLSIはまあHDD系で、右上のAN8428は、たぶんディスクを回転させるためのモータードライブICと思われます。1.030Bとかラベルが貼ってあるLSIが謎です。

HDD基板の裏。いかにも親玉っぽい、AVHDD LSI(MN7C060-5601)。機能的には、あと1394側のデバイス認証と、1394 HDD/IDE変換と、C2ブロック暗号化が必要なはずなので、表の謎のLSIとこいつとでその辺をやっているのですかね。

ドライブの裏。こちらは何の変哲もない。

で、事の発端となったY/C分離回路なんですが、何と完全シールドされたモジュールになってました!これじゃわかんねえじゃねえかYO!

手前に謎のMV CS PACKと書かれたモジュールを挿すコネクタがある。MacroVision Content Scrambling PACK?とか邪推してみましたが、真相は不明です。

これが謎のモジュール本体。論理演算系ディジタルICを中心としたICが並んでます(裏にも)。カウンターICがあれば、簡単なレベルのマクロビジョン(垂直同期期間中の過大なレベルの信号)なら掛けられそうな気が。考えすぎ?

で、Y/C分離なんですが、結局お客様相談センターに電話したら、「3D Y/C分離じゃないです」という回答でした。やっぱし。。。でも、何故載せてないかねー。謎。「やっぱ最初から電話してみりゃよかったじゃん」というツッコミは堪忍しといてー。ネタっすよネタ。ハハ。

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