テープ比較

このページでは主に変な(普通の人があまりお目にかけないような)ビデオテープの解説とサイズ比較しています.デッキまでさすがにないので(汗)画質評価とか分析なんぞめんどくさいことはしませんのであしからず.また結構いい加減な知識に基づいて書いてますので,間違った情報もあるかもしれません.正確な情報をお持ちの方はメールででもお知らせいただけると幸いです.

Sony HDCAM,Victor W-VHS,Sony MiniDV

HDCAMは業務用の1/2インチディジタルHDTV VTR規格です.磁性体はメタルテープ.圧縮記録で圧縮比は約7:1です.競合規格として松下のD-5があります.D-5はNHKが開発し松下が製品化したもので,圧縮比は5:1です.テープ幅は1/2インチ.D-5はSDTVでも用いられます.SDTVではYUV 4:2:2 非圧縮ディジタルコンポーネントです.

W-VHSは民生用の1/2インチ アナログHDTV VTR規格です.MUSEなど圧縮せずベースバンド記録します.SDモードもあり,高画質(S-VHS標準モードを上回る画質)にSDTV(NTSC)映像の記録もできます.この場合3倍の時間記録可能です.カセットサイズは普通のVHSと同一ですが,専用カセットシェルを採用し,磁性体はメタルテープです.

DVは言わずと知れた民生用の1/4インチ ディジタルSDTV VTR規格です.圧縮記録で圧縮比は5:1 (25Mbps).YUV 4:1:1フォーマットです.カセットシェルは標準サイズとミニサイズがあり,ムービーでは主にミニサイズシェルが用いられています.磁性体はメタルテープ.SPモードとLPモードがあり,LPだと1.5倍の時間記録可能です.別に画質を落とすわけではなく,記録密度を上げています.その代わりトラッキングがシビアになるため,LPでは基本的に自己録画再生以外は保証されません.業務用としてはSony DVCAM,松下 DVCPROがあります.DVCAMでは信頼性を上げるために民生用SPモードの1.5倍速で記録しますので,もっと短くなります.DVCPROをより高ビットレートにしたDVCPRO 50という規格もあり,YUV 4:2:2で圧縮比は3.3:1 (50Mbps)となります.

左からSony HDCAM 64分,Victor W-VHS 180分,Sony MiniDV 60分.

重ねてみたところ.MiniDVってちっちゃいよね〜.

カセットシェルはこんなん.

Sony BETACAM, Sony β, Victor VHS

BETACAMは業務用1/2インチ アナログSDTV VTR規格です.カセットシェルは小さなサイズと,大きなサイズがあります.小さなサイズのカセットシェルでは最大30分記録可能で,民生用のβでも使え,30分テープはL-750に相当します.大きなカセットでは90分記録可能です.

BETACAMの次にできた規格がBETACAM SPです.メタルテープを用いており,アナログコンポーネント記録です.テープは異なりますがカセットシェルは同じで,BETACAM SPのデッキではBETACAMのテープの再生が可能です.放送局によってはまだ現役でしょう.小さなサイズのカセットは民生用のED-Betaでも使用可能です.この前までBETACAM SPの90分カセットを持っていたのですが,手放してしまいました.

さらにDigital BETACAMという規格があり,ディジタルコンポーネント記録です.YUV 4:2:2.圧縮比は1.77:1です.SDTVの放送局では,非圧縮3/4インチ ディジタルコンポジットVTR規格であるD-2と並んで広く使用されています.BETACAM SXというディジタルコンポーネント記録方式もあります.YUV 4:2:2.圧縮比はフレーム間差分圧縮を用い10:1となります.フレーム単位の編集は困難であるか,できないことはないですが再圧縮のため画質劣化するでしょう.この規格はあまり使われているという話を聞きません.

βはあまりに有名なVHSと競合して敗れた民生用1/2インチアナログVTR規格です.VHSよりもサイズは小さいですが,L-750テープ(750feet; 222meter)でβI/βIsモードで1時間30分,βIIモードで3時間,βIIIモードで4時間30分記録可能です.後にHi-Bandが登場しました.そのまんまですが帯域のハイバンド化(5.6MHz)を図り画質向上させています.VHSで言えばS-VHSのようなものでしょうか.ただしテープは同じでした.さらにSHB(Super Hi-Band)が登場し,βIsモードで6.0MHz帯域を実現しています.

さらにED(Extended Definition)-Betaが登場しました.メタルテープを使用し,大幅な高帯域化(9.3MHz)を図っています.既にこの時には民生用VTRフォーマット戦争にVHSが完全に勝利していましたので,ごく一部のハイエンドマニアに珍重されたのみで,早々に姿を消しました.でもつい最近まで最高のED-BetaデッキであるSony EDV-9000はカタログにしっかり載っていました.まあほとんど意地ですねえ.いつまで売るつもりなんでしょうか.

左がBETACAM.右上がβ.下がVHSカセットです.BETACAMとβはデザインは違いますがほとんど同じ形状なのがわかると思います.

VHSよりややコンパクトなβカセット.

赤がβのライトプロテクトのツメです.
VHSでは緑を押すとリッドのロックが解除され,水色を押すとテープリールのロックが解除されますが,βでは黄色を押し下げると両方同時に解除されます.

なんと新品未開封のβのテープが出てきました.懐かしい人もいるんじゃないでしょうか.当時のテープは裏に色々と数字やグラフ入りでスペック解説がされてました.

Victor VHSファミリ

もう,わざわざ解説も不要と思いますが,民生用1/2インチ アナログVTR規格です.酸化鉄テープを使用.標準のT-120テープでSP(標準)モードで2時間,LPモードで4時間,EP(3倍)モードで6時間記録できます.LPモードは日本ではほとんど使用されていませんが,外国のテープでは時々LPモードで記録されたものがあります.国産のデッキでもLPモード記録はできませんが,再生はできるものがあります.トラック幅はSPで58μm,EPで19μmです.

映像は輝度信号FM変調,色信号低域(629kHz)変換直接記録方式で記録します.音声はモノラル音声をヘリカルスキャンする映像トラックとは独立して記録します.これをノーマル音声トラックと呼びます.これとは別に,映像トラックに一緒にFM変調深層記録方式で記録するのがVHS Hi-Fi方式です.ステレオで,FM変調のためS/N比に優れていますが,2つのヘッドを切り替えながら再生するため,低周波(59.94Hz)のスイッチングノイズが発生することがあります.また,ノーマル音声トラックは独立しているため(使う人はほとんどいないと思いますが)一応アフレコができますが,Hi-Fi音声は映像と一緒に重畳記録するためできません.

輝度信号の高帯域化(5MHz)を図った(色信号は0.5MHzのまま)のがS-VHS規格です.5MHzの帯域により,スペック上水平解像度400TV本を実現します.SはSuperの略です.S-VHS記録したテープをSQPB(S-VHS簡易再生機能)非対応のVHSデッキで再生すると,過変調により映像が乱れます.グレードを高めたS-VHS専用テープでのみ記録可能でしたが,後にVHSテープでもS-VHS記録を行うS-VHS ETモードができました.当然S-VHS記録ですので,S-VHSデッキまたはSQPB対応デッキでないと再生できません.最近でているビデオデッキの中には,S-VHSテープに長時間記録するSEP(5倍)モードが搭載されているものがあります.最長のST-210テープを使用すると,17.5時間の記録が可能です.また自己録再以外保証しないなど制限事項があります.SEPモードのトラック幅は10.5μmです.

ハイビジョン信号の記録を目的とした民生用アナログVTRがW-VHS規格です.メタルテープを使用.ビクターの業務用1/2インチ ディジタルコンポーネントVTR規格でD-9 (Digital S)があり,YUV 4:2:2で圧縮比は3.3:1です.このテープはW-VHSでも使用できます.

HDモードでは,2ヘッドパラレルでベースバンドHDTV信号をコンポーネント記録します.輝度信号帯域13.3MHz,色信号帯域4MHzを実現しています.輝度信号・色信号はTCI(Time Compression Integration)記録により時分割多重化され,原理的に干渉しない方式になっています.トラックは19μm幅で,映像に2トラック,音声に1トラック専用に割り当て,1フィールドに3トラック使用します(58μm).

SDモードでは1ヘッド/1トラックのみを使い,SDTV(NTSC)信号をTCI方式でS-VHS標準モードを超える画質(輝度信号帯域6.5MHz,色信号帯域1MHz)で記録できます.音声も映像トラックに重畳します.1フィールド19μmで,HDモードの3倍の時間を記録できます.

D-VHSはBSディジタル放送や来るべき地上波ディジタル放送などの登場をにらみ,放送のMPEG-2 TS(Transport Stream)信号をそのまままるごと記録・再生することを想定した規格です.DはDataの略です.i.Link(IEEE1394)でセットトップボックス(チューナのこと.以下STB)とデッキを接続し,STBから受信したディジタル信号をそのままMTP(MPEG Transport Packet)方式にて記録します.再生時は,そのディジタル信号をそのままSTBで受信して,映像やデータ放送などを再現します.デッキによってはMPEG-2エンコーダを内蔵し,アナログ放送やアナログ外部入力もMPEG-2圧縮を行ってディジタル記録することが可能です.

D-VHSテープはS-VHSテープをベースにさらに高性能化したもので,S-VHS HG〜PRO程度の性能となります.D-VHSテープはVHS/S-VHS方式でもアナログ記録することが可能です.

記録モードは標準のSTDモードが14.1Mbpsで,HDTV放送を想定したHSモードが28.2Mbps,LS2モード7.5Mbps,LS3モード4.7Mbpsとなっています.他にもLS5, LS7モードなどが規定されています.標準的なDF-300テープに,STDモードで300分,HSモードで150分記録可能です.現在のところ,最長でDF-480が発売されており,LS3モード使用時には24時間記録が可能です.

上からVHS,S-VHS,D-VHS,W-VHSテープです.W-VHSテープ以外はほとんどカセットシェルは同じです.

左上がVHS,左下がS-VHS,右下がD-VHS,右上がW-VHSです.S-VHSでは赤丸のところに識別孔があります.D-VHSではさらに緑丸に識別孔,カセット左下のあたりにも小さな孔が空いています.どうやら緑丸の方でなく,小さい方の穴で識別している模様.
W-VHSではリッド部分がホコリの侵入を防ぐような構造になっています.また青矢印の部分にスライド式の窓があり,スライドさせるだけでライトプロテクトの設定を変更できます.

ビクターとTDKのD-VHSテープパッケージ.

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